墓じまい・改葬の費用 ― 4つの費目と「定価がない費用」の考え方

墓じまい・改葬にいくらかかるかは、大きく4つの費目の合計で決まります。(1)市区町村に払う行政手数料(2)墓石の撤去・処分(3)お寺との関係整理(離檀)(4)改葬先の費用の4つです。このうち、金額の目安がはっきり決まっているのは(1)だけで、(2)〜(4)は立地・お墓の大きさ・契約先などの状況によって変わります。この記事では、まず費用の全体の構造を示し、公的資料と当サイトの集計でわかる範囲を整理します。金額の断定的な相場は、確かな出典があるものだけを示します。

墓じまい・改葬とは

改葬(かいそう=いまのお墓から遺骨を取り出し、別のお墓や納骨堂などへ移すこと)は、市区町村の許可を受けて行う手続きです。墓じまいは、いまのお墓を撤去して更地に戻し、遺骨を別の場所へ移す一連の流れを指して使われる言葉で、その中に改葬の手続きが含まれます。

4つの費目の全体像

墓じまい・改葬でかかる費用を費目ごとに分けると、次のようになります。

費目 だれに払うか 金額の目安 確認方法
(1)行政手数料 市区町村 あり(かかっても数百円) 遺骨のある自治体の案内・窓口
(2)墓石の撤去・処分 石材店・業者 状況次第(定価なし) 見積書(複数社で比較)
(3)離檀料 お寺 明確な基準はない お寺との話し合い
(4)改葬先の費用 墓地・霊園・業者 形態・契約次第 契約先の案内・見積書

(1)だけは、後述するとおり金額の目安がはっきりしています。(2)〜(4)は、公的・中立の費用相場統計が確認できないため、当サイトでは具体的な金額の目安を示しません。かわりに、それぞれ何で金額が変わるのか、どこで確認するのかを整理します。

(1)行政手数料 ― 当サイト掲載自治体の集計

改葬の許可を市区町村に申請する際の手数料は、この4費目のなかで唯一、金額の目安がはっきりしている費目です。そして、総額のうち最も小さい費目でもあります。

当サイトが掲載している109自治体(東京23区・政令指定都市・中核市・県庁所在地。2026年7月10日時点)について、各自治体の公式サイトに記載されている改葬許可申請の手数料を集計すると、次のとおりでした。

公式サイトの記載 自治体数
無料と明記 30
有料と明記 7(300円が5、350円が1、450円が1)
公式サイトに記載なし 72

有料と明記していた7自治体も、金額は300〜450円の範囲でした。つまり、公式サイトで金額が確認できた範囲では、行政手数料はかかっても数百円です。ここで悩む必要のある費目ではありません。

「公式サイトに記載なし」の72自治体については、注意が必要です。記載がないこと=有料という意味ではありません。無料のため特に記載していない自治体も含まれると考えられますが、当サイトでは公式サイトの記載を根拠にしているため、記載がないものは「未確認」として扱っています。正確な金額は、遺骨のある市区町村の窓口へ電話などで確認するのが確実です。

郵送申請の対応状況

あわせて、同じ109自治体の郵送申請への対応状況を集計すると、次のとおりでした。

郵送申請の対応 自治体数
可と明記 50
条件付きで可 9
不可と明記 3
公式サイトに記載なし 47

郵送で申請する場合は、手数料を定額小為替で送るのが一般的です。同封する書類や定額小為替のしくみは、改葬許可申請を郵送で行う方法で解説しています。

これらの集計は、当サイト調べ(各自治体公式サイトの記載を集計、2026年7月10日時点)です。掲載している自治体の一覧・個別の窓口・様式は、トップページの検索からご確認ください。手数料・郵送可否は自治体によって異なり、また更新される場合があるため、最終的には遺骨のある自治体の窓口でご確認ください。

(2)墓石の撤去・処分 ― 定価がない費用

いまのお墓を撤去して更地に戻す費用は、石材店・業者に支払います。この費用には決まった定価がありません。金額は、次のような条件によって変わるためです。

このように条件で変わるため、当サイトでは「墓石の撤去はいくらが相場」という金額の断定はしません。かわりに、見積書で次のような内訳が示されているかを確認することをおすすめします。

費用は業者・地域によって大きく異なるため、1社だけで決めず、複数の業者から見積もりを取って内訳を比べることをおすすめします。

(3)離檀料 ― 明確な基準はない

お寺の墓地から改葬する場合、これまでの供養へのお礼としてお寺に渡すお布施を「離檀料(りだんりょう)」と呼ぶことがあります。国民生活センターは、離檀料について「お布施の意味を持つもので、現状は、料金に明確な基準はありません」との見解を示しています。一方で、公的な相談窓口には高額な請求をめぐる相談も寄せられています。

離檀料の法的な位置づけ、切り出し方、高額請求が寄せられている実例と相談先については、離檀(りだん)の進め方で公的資料をもとに整理しています。

(4)改葬先の費用 ― 形態によって費用の構造が違う

遺骨を移す先にかかる費用も、選ぶ形態によって費用の構造が異なります。一般的なお墓のほか、樹木葬・納骨堂・永代供養墓、あるいは散骨など、形態ごとに何にお金がかかるか(区画の使用料、管理費、供養・管理の期間など)が変わります。

これらの法律上の扱いの違いは、散骨・樹木葬・永代供養の違いで整理しています。なお、これらの費用についても、公的・中立の費用相場統計が確認できないため、当サイトでは具体的な金額の目安は示しません。契約内容(個別に安置される期間、後から取り出せるかどうかなど)とあわせて、契約先の案内や見積もりで確認することをおすすめします。

費用を把握する順番

費用の全体像をつかむには、次の順番で確認していくと整理しやすくなります。

  1. 行政手数料を確認する:遺骨のある市区町村の手数料(多くは無料〜数百円)を確認します。トップページの検索から自治体ページを開けます。
  2. 改葬先を決める:移し先の形態と費用の構造を確認します。改葬先が決まると、受入証明書など申請に必要な書類の入手先もはっきりします。
  3. お寺との関係を整理する:お寺の墓地の場合、早めに事情を伝え、埋蔵証明などの発行を依頼します。離檀料が発生する場合は、その考え方を離檀の進め方で確認します。
  4. 墓石の撤去を見積もる:複数の業者から見積もりを取り、内訳を比べます。
  5. 申請書を用意する:記載事項・添付書類・様式は改葬許可申請書の書き方で確認します。郵送で申請する場合は郵送で行う方法を参照してください。

このうち金額がはっきり決まっているのは1だけです。2〜4は「定価がない費用」なので、構造を理解したうえで、見積書や契約内容で一つずつ確認していくのが確実です。

関連リンク

この記事は法的助言ではありません

この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。手数料・郵送可否・必要書類など手続きの具体的な内容や、墓石の撤去・改葬先・離檀にかかる費用は、自治体・業者・寺院・地域によって異なります。個別の判断は、遺骨のある市区町村の窓口や専門家にご確認ください。最新の情報は必ず自治体窓口でご確認ください。

最終確認日: 2026-07-11

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